戦闘態勢に入るかのように

 病院内で看護をするために様々な物に手を触れる必要があり、場合によってはけがなどの危険性がある物から手を守るために手袋が大きな役目を果たしていきます。特に女性の方にしてみたら、いかにも白魚のような手を傷つけたくないために手袋が必要であっても不思議ではないでしょう。女性とは美しさを重視する傾向が顕著である場合があるため、自分の体を傷つける可能性がある障害などから身を守るアイテムが欠かせないのです。手袋が自分を包み込んでくれるバリアのような役割をしてくれていることから、素手でも問題ない場面であっても手袋なしでは物を触ることができないくらいの潔癖症の方がいてもおかしくないでしょう。
 病院で手袋を使う習慣が高じて、次第に家でも手袋をするようになることもあるでしょう。故に、手袋なしでは生きていけないくらいに手袋に依存するようになり、一種の職業病がもたらす影響の一つではないかと思うのです。ましてやトイレ掃除をする際には手袋が欠かせなくなり、ウォッシュペーパーを何枚も手に重ねないと便器を触れない上に、手袋までする習慣は神経を使う行いのように感じられてきます。
 手術を終えた医師から手渡される医療器具に血がこびりついているのを見て思わず身震いをする看護師もおられるでしょう。しかしながら、その医療器具を受け取る際に、その道具から滴り落ちるであろう血を、手袋をしていることで直接自分の生身の手に触れずに済んでホッと胸をなで下ろして何だか救われたような気分になることも考えられます。看護師として病院に身を置きながら患者の血で臆病になっている自分が恥ずかしくなることもあるかもしれませんが、そうした障害を乗り越えないと実際に患者の死に直面したときに正気ではいられなくなるくらいに発狂してしまうことが考えられるため、早く人の血に慣れるように免疫がついたらいいのにと願わずにはいられないでいる人がいても不思議ではないのです。